対称性。それはかつてCと繰り返し話した内容だ。1920年代のプラハ。雑誌TCLPに載ったカルツェフスキイの論文、「言語記号の非対称的二重性」。言語が保持し続けるところの、それによって言語が言語であり続けるところの、絶対的に矛盾する柔構造と硬構造の共存。言語において二重に内在し続けるだろう永遠の矛盾。言語がかくも柔軟でかくも堅固でいられるのはなぜか、そのほとんど絶対的に矛盾するかともおもわれる二重性をカルツェフスキイは提示した。Cがその最後の本の中でただ一人天才と称した言語学者、セルゲイ・カルツェフスキイが残した白眉の論考。
なぜこの共存が可能なのか、この二重性に対する整合的な理解は今もなお、たぶん提出されていない。これに比して世界の量子化quantizationについては着実な進展があった。
深谷によれば、コンツェヴィッチは1997年の論文で形式性予想を提示し、2003年の論文に至って、みずからその予想を証明した。「ポアッソン多様体の変形量子化」。深谷は彼の本の中でその証明の概略をnRの場合に限って述べている。証明の全容は計り知れない。量子による空間、それももう夢ではないかもしれない。
Source: Tale / Print by LI Koh / 27 January 2012
Reference:
Quantization of Language / 24 June 2009
Komaba Park, Tokyo in midafternoon
3 July 2014
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