Friday, 27 June 2014

Tender rain like a angel / Tale, Print 2012

彼がどうしてあんなにいろいろと話してくれたのか、今ではすこし不思議な気もする。好奇心の旺盛な年下のものに、ていねいに接してくれたのだろうか。それとはすこし違うようにおもわれる。いつだったか、どうしてそんなことを話したのか、もう細かい経緯は忘れたが、詩の話になったとき、私はラフォルグの詩の中に出てくる、天使の優しさで降る雨、ということばが好きだと言ったことがあった。Kはそのまま聞きながしていたようにおもっていたが、或るとき彼からはがきが来て、その裏には冬の木立に霙が降りしきっている、モノクロームの版画が刷られていた。表の住所の下に小さなスペースを作って、そこに、天使の優しさで降る雨というのを描いてみた、と記されていた。Aがおもっていた優しい雨より、はがきの画面は暗く重かった。

Aはラフォルグが好きだった。角笛の音、あるいは秋のために、人は恋死にすることがある。そんなラフォルグのことばが好きだった。そうしたことを率直に話したから、彼も応えてくれたのだろうか。


Source: http://srfltheory.weebly.com/tale.html 


Rain at Nihonbashi, Tokyo

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