Sunday, 16 December 2018

ANIF 7.Round dance 2007

7 輪舞
教室は1年が1階、2年が2階、3年が三階とだんだん上に行く。2年の秋、昼休みに2階の教室から、田所は窓の外を見ていた。真下は校舎のかぎの部分にあたり、中庭風になっていて、コンクリートになっている。そこにはむかし始業に使われたという鐘がつるされている。そこに2年の女子が2クラスほど集まっていた。別に授業というのでもなく、それが終わったか、午後が始まる前なのか、みな思い思いのままの姿勢でいた。ダンスかなにかの練習らしく、二人で組んで踊り始めているものもいる。見ると村木が、友人の諏訪さんと一緒に組んでいる。二人も踊りだした。どちらかというと村木が主で、諏訪さんが受けという感じだった。諏訪さんが高く手を上げた下で、村木が諏訪に手をのばし踊り始めた、舞踏会のシーンのように。中庭は、村木を中心にした輪舞のように見えた。重力がないかのようにかろやかに村木は踊った。クラブや委員会や会話で田所に見せる表情とはまったく違った、かろやかであかるく、歌詞は聞こえなかったが小さく歌いながら、村木は踊っている。諏訪さんもにっこりしている。二人は近づき、離れ、目を合わせて微笑みながら。黄葉のはじまった秋の中庭の木立の下で。
田所はこうして、いくどめかの村木に出会った。
Read more.
ANIF

No comments:

Post a Comment