Sunday 23 June 2019

3 Library committee / From Resting Elbows Nearly Prayer

3 委員会
クラス委員の選出で、田所は図書委員になった。というより自然にそうなった。クラスの委員にはだれも積極的にはなろうとしない。しかしそれなりに進行して図書委員のところに来たとき、一人が田口を推薦した。もう一人だれかいませんか、といったとき、同一推薦人が、それでは田所君をということで、名前の近い二人が、図書委員になった。
はじめての委員会の日に、また村木と会った。彼女は男女組A組選出の委員だった。そのときは、さすがに村木も「あら」といって笑った。出会いはこれで三度目だった。しかし村木は一度目の雨の日のことはもちろん知らない。
委員会解散後の廊下で「田所君、本が好きなの」と聞かれた。
「好きは好きだけど、ならされた」
「ならされたって、無理に」
「無理にっていうわけでもないけど、クラスに田が苗字が二人いて、それでオレと田口がなった」
「私は自分でなったわ、だってどれかになるなら、好きなもののほうがいいでしょ」
「そりゃたしかにそうだ」
「当番は木だっけ、私は火。クラブがないものね」
陸上部は、練習が月水金の三日だった。
「田所君は黙々と練習してるわね」
「だって幅跳びは一年はオレ一人だし。金井とよく話すよ」
「金井君は中学のとき、いい記録出してたんだってね」
「らしい。村木さんもそうだって聞いたけど」
「うーん、すこしね。でもまだまだだわ」
短い髪のように、話し方も端的だ。
男子クラスのF組の前に来た。A組はまだ先だ。
「夏の記録会には出るの?」
「オレ高校になってからだから、幅跳びはむずかしいよ」
「大丈夫よ、田所君いい滞空時間してるじゃない」
びっくりした。自分の跳んでるところをけっこうちゃんと見ているらしい、田所は村木を見送って思った。

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